今後の社会保障制度はいかに…!?

  • 2016.06.6
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未曽有の熊本地震から一か月半が過ぎました。
被害の大小はあれど、まだまだ復旧に向けた一途をたどっている方がほとんどではないでしょうか。

さて、話は変わりますが、先日消費税増税が延期されたことは記憶に新しいかと思います。
元々は社会保障制度に充てられるはずだった財源、いろいろと多角的に見たとき今回の延期が良いか悪いかはわかりませんが、今後の社会保障にどのような影響を及ぼすことになるのでしょう。
現在、財務省は福祉用具貸与を縮小し、要介護2以下は原則として自己負担の仕組みに切り替えるべきと主張しています。増え続ける給付費の適正化につなげるため、2018年度の介護保険制度の改正で実現するよう求めているのが現状です。
もしこれが実現した場合どのような影響が出るのか…ということを「日本福祉用具供給協会」が先月末に調査結果をまとめ、公表しました。
それによると、車いすや歩行器、多点つえなどのレンタルを打ち切られてしまった場合、別の新たな支援が必要になると考えている利用者が多く、居宅内の移動や買い物、通院などに支障が出ないよう「介助者を依頼する」とした人が目立っていたそうです。
訪問介護に頼らざるを得ない場面も増えることから、全体の給付費は逆に1,300億円(年額)以上膨らむと報告されました。
協会はこれを踏まえ、「財務省の言う改革は自立度を低下させる。さらなるコストアップを招くもので、費用対効果の面で合理性がまったくない。本末転倒」と批判。「介護職員の不足にも拍車をかける。『介護離職ゼロ』という目標にもマイナス」と強く反論したようです。
この調査は昨年12月に行われたもので、要介護2以下の高齢者のうち、車いす、歩行器、多点つえ、手すり、特殊寝台の利用者それぞれ100人ずつ、計500人を対象とし、今の機器が使えなくなったらどうするかを尋ね、478人から有効な回答を得たとのことです。
調査では、結果にもとづき福祉用具を代替する訪問介護の量を推計、それに必要となる費用を試算。サービスの効率化などでコストを減らせると仮定しても、1,370億円の給付費が余計にかかると見積もっているようで、また10万人を超える介護人材の追加需要が発生するとも指摘しました。
協会はこうした結果について、「主要5種目の分しか含んでおらず、利用者の重度化を早めてしまうことも考慮していない。実際にはさらに大きな悪影響が出る」と説明し、「福祉用具貸与は、居宅での生活や地域との関わりなどをローコストで維持できる、非常に効果の高いサービス。本人の自立意欲を高め、介護者の負担を軽減する極めて重要な役割を果たしている」などと主張し、給付を縮小すべきでないと訴えているとのことです。
高齢者は増える一方なので予算が圧迫していくのは明白とは思いますが、福祉用具を使用することで自立動作に繋がっていることも間違いないと思います。表面の数字だけでなく内容を精査したうえで然るべき対応を行って欲しいものですね。


everybody
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